親子会社間の取引と寄附金

2014-04-28

親子会社間での取引については、取引価格の全部又は一部が税務上、寄附金に該当すると認定される場合があります。親子会社間では取引価格を恣意的に高くしたり低くしたりすることで、一方から他方へ利益を移転することができ、利益調整が可能となるためです。取引価格の全部又は一部が税務上の寄附金に該当すると認定された場合には、支払い側において寄附金と認定された金額の全部又は一部を損金算入できないことになります。

実務上、親子会社間の取引価格が寄附金と認定されるか否かを判断することは難しいですが、最近、参考になる判決がありました。

平成26年1月24日の東京地裁の判決ですが、納税者勝訴で控訴されずに確定しています。

納税者は住宅用外壁部材の製造会社ですが、親会社に住宅用外壁部材を販売する際に、期首において暫定価格を設定したうえで、合理的な原価計算による実際原価に基づいて期末において期末価格を決定して差額を精算していたところ、当該精算額が寄附金に該当するとして国税当局により更正されていました。

しかしながら、裁判所の判断では、契約関係や暫定価格の設定から期末価格の決定までの経緯を勘案すると、取引価格は期末価格であり、また、取引価格と市場価格とのかい離を認めるべき証拠はないため、寄附金には該当しないとされました。

この判決から、暫定価格を設定して後に精算する等の支払い方は寄附金認定の本質的な問題ではなく、取引価格と市場価格がかい離しているか否かが寄附金認定の根幹であると考えられます。

親子会社間で取引を行う場合には、取引価格と市場価格がかい離していることが明らかか否かに注意を払うことが、最も重要なポイントとなります。

 

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