所得拡大促進税制_H27年3月決算のチェックポイント

2015-04-30

【所得拡大促進税制の適用漏れにご注意ください。平成27年3月決算では、平成26年3月決算分を上乗せできるケースがあります。また、税制改正により、創設時に比べて適用要件が緩和されています。】

 

平成25年度税制改正により創設された所得拡大促進税制は、青色申告法人が平成25年4月1日から平成30年3月31日まで(平成26年度税制改正により2年延長)に開始する事業年度において国内雇用者に対する給与等を増加させる等一定の要件を満たす場合に、法人税額の10%(中小企業者は20%)を限度として、適用年度の雇用者給与等支給増加額*1の10%を法人税額より税額控除することができる制度です。

 

適用要件は以下の1.~3.通りですが、1.の要件における「一定割合(給与等増加割合」は、下表のとおり税制改正により緩和されています。

 

**平成26年4月1日以後に終了する事業年度**

1. 雇用者給与等支給額*2が基準雇用者給与等支給額*3と比較して一定割合(注1)以上増加していること

2. 雇用者給与等支給額*2が比較雇用者給与等支給額*4を下回らないこと

3. 平均給与等支給額*5が比較平均給与等支給額*6超えていること

 

(注1)一定割合は、事業年度開始日に応じて下表の通り段階的に変更となります。

事業年度開始日 H27.3.31まで H28.3.31まで H29.3.31まで H30.3.31まで
中小企業者 5%→2%に緩和 5%→3%に緩和 5%→3%に緩和 5%→3%に緩和
大企業 5%→2%に緩和 5%→3%に緩和 5%→4%に緩和 5%(緩和なし)

 

上記の給与等増加割合の緩和は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度に適用されるため、平成26年3月決算では緩和前の給与等増加割合で適用の可否を判定することになっていました。ただし、平成26年3月決算において、仮に給与等増加割合が5%→2%に緩和されたものと仮定すると要件を満たす場合、平成27年3月決算で適用要件を満たせば、平成26年3月期分の控除額を平成27年3月期において上乗せして控除することができます。

 

このように、創設時から適用要件が緩和されており、また、平成27年3月期では平成26年3月期分の控除額上乗せ適用が受けられる場合もありますので、給与等を増額している法人においては、平成27年3月期の確定申告で適用漏れがないようにご留意ください。

 

 

*1 雇用者給与等支給増加額

適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を引いた金額です。

 

 

*2 雇用者給与等支給額

国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。

 

*3 基準雇用者給与等支給額

平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。

 

*4 比較雇用者給与等支給額

適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。

 

*5 平均給与等支給額

雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、適用事業年度における給与等の月別支給対象者(当該適用事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日々雇い入れられる者を除きます。)の数を合計した数で除して計算した金額をいいます。

 

*6 比較平均給与等支給額

比較雇用者給与等支給額から日々雇い入れられる者に係る金額を控除した金額を、前事業年度における給与等の月別支給対象者(当該前事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日々雇い入れられる者を除きます。)の数を合計した数で除した金額をいいます。

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