Archive for the ‘お知らせ’ Category
平成25年度税制改正、平成26年度税制改正 所得拡大促進税制による節税
平成25年税制改正にて、消費喚起を図るため、従業員に対する給与増加を目的として所得拡大促進税制が3年間の時限措置として設けされております。
今般、平成26年度税制改正にて、所得拡大促進税制の適用要件が緩和され、適用期間も延長されております。さらに、平成26年3月期で、平成25年度税制改正の要件を満たさないものの平成26年度税制改正における同税制の要件を充足する場合には、平成26年3月期の税額控除相当額を平成27年3月期に上乗せして税額控除を受けることができるものとされている。
なお、税額控除額であるが、中小企業等の場合は法人税額の20%を限度として税額控除を受けることが可能となり、中小企業等以外の場合には、法人税額の10%を限度として税額控除を受けることが可能となっております。
主な適用要件を3月決算の会社を例に解説します。
まず、平成26年3月決算ですが、同決算において下記の全ての要件を充足する必要があります。
- 雇用者給与等支給増加額 ≧ 基準雇用者給与等支給額×5%
- 雇用者給与等支給額 ≧ 比較雇用者給与等支給額
- 平均給与等支給額 ≧ 比較平均給与等支給額
仮に、上記要件を平成26年3月期決算において充足しておらず、例えば1の増加額が4%であった場合には、本来は同税制の適用を受けることができないこととなりますが、1の要件は、平成26年度税制改正において2%*に緩和されているため、平成26年3月決算の税額控除相当額は、平成27年3月期に上乗せして適用を受けることが可能となります。
*平成25年度、26年度は2%、平成27年度は3%、平成28年度、29年度は5%
なお、所得拡大促進税制の具体的な適用をご検討されている場合には、無料相談を実施させていただきますので、弊社担当者までお気軽にお問い合わせください。
業績悪化などによる役員報酬の期中の変更と役員報酬の損金算入
法人税法では、役員報酬が損金算入できるケースを一定の類型に限定している。これは、役員報酬を恣意的に変更することによる租税回避を防止する趣旨である。
役員報酬を損金算入できるケースは、下記の3つの類型がある。
1 定期同額給与
2 事前確定届出給与
3 利益連動給与
このうち、もっとも一般的な類型と考えられるのが、1の定期同額給与である。定期同額給与とは、支給時期が1ヵ月以下の一定の期間ごとである給与であり、かつその事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの等をいう。
定期同額給与で問題になるのが、期中に変更を行うケースである。たとえば、事業再生計画などの作成を行う過程で、期中に役員報酬を変更するケースがある。
なお、昨今では中小企業再生支援協議会などの公的な機関の支援を受けて事業再生計画を策定するケースも増加しており、当該計画のなかで、期中に役員報酬を変更する施策を盛り込むケースもあるであろう。
定期同額給与は、本来はその事業年度の途中で支給額を変更することはできない。しかし、次のような場面では支給額を変更することを認めている。
ア 事業年度開始から3か月を経過する日までにされた定期給与の額の改定
イ 役員の職制上の地位・職務の内容の重要な変更
ウ 経営の状況が著しく悪化したこと等による変更
このうち、例えば事業再生計画などを外部の公的な機関と連携して作成するようなケースにおいて、その事業再生計画の中で役員報酬を変更する際には、上記ウの経営状況が著しく悪化したこと等による変更と認められ、役員報酬の変更を行ったとしても、役員報酬の損金算入が可能と思慮される。
なお、役員報酬の損金算入が否認される場合には、源泉税等も含めて納税額へ影響が大きくなる可能性があるため、具体的な適用に際しては、事前に専門家へ十分相談されることをお勧め致します。
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平成26年度 個人住民税の増税
東京都は、平成26年度から個人住民税が改正され、1,000円の増加となっております。
これは、「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」の制定に伴い、都民税・区市町村民税の均等割額にそれぞれ500円が加算されるもので、平成26年度から35年度までの10年間の時限措置となります。
この増税分の使いみちですが、東日本大震災からの復旧・復興事業予算19 兆円程度のうち、全国の地方団体で行われることが予定されている緊急防災・減災事業の地方負担分等(0.8 兆円程度(推計)については、地方税において復旧・復興のための臨時的な税制上の措置を講じることで、地方団体自ら財源を確保することとされており、この財源とされます。
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自宅に設置した太陽光発電設備による電力の売却収入の税務上の取扱い
再生可能エネルギーへの関心の高まりとともに、自宅に太陽光発電設備の設置をご検討されている方も増えていることでしょう。
本日は、太陽光発電設備の設置に関連する税務上の取扱いについてご説明いたします。
余剰電力の売却収入については、それを事業として行っている場合や、他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合には事業所得に該当すると考えられますが、給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当するとされております。
なお、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却すること(全量売電)が可能とされており、給与所得者がこの全量売電を行っている場合の売電収入も、上記と同様に、それが事業として行われている場合を除き、雑所得に該当するとされております。
また、消費税の取扱いですが、国税庁の質疑応答によれば、余剰電力の売却は、会社員が事業の用に供することなく、生活の用に供するために設置した太陽光発電設備から生じた電気のうち、使い切れずに余った場合に当該余剰電力を電力会社に売却しているものであって、これは消費者が生活用資産(非事業用資産)の譲渡を行っているものであることから、消費税法上の「事業として」の資産の譲渡には該当しないとされております。
但し、全量売電の場合には、会社員が電力会社との間で太陽光発電設備により発電した電気の全量を売却する旨の契約を締結し、その発電した電気を生活の用に供することなく数年間にわたって電力会社に売却するものであることから、会社員が反復、継続、独立して行う取引に該当し、消費税の課税対象に該当するものとされております。この場合、開業1年目、2年目は原則、免税事業者に該当すると想定されますが、3年目も売電収入が1,000万円を超えることが無ければ免税事業者に該当すると考えられます。また、初期投資として太陽光発電設備に数百万円かかるため、初年度に課税事業者を選択して還付申告をすることも検討に値しますが、予め詳細にシミュレーションを行うことが必要です。
太陽光発電設備の導入をご検討されている方は、弊社で詳細なシミュレーションを致しますので、お気軽にお問合せ下さい。
【参考】
国税庁 質疑応答「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」、「会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却」
税務通信 3291号 2013年12月16日
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親子会社間の取引と寄附金
親子会社間での取引については、取引価格の全部又は一部が税務上、寄附金に該当すると認定される場合があります。親子会社間では取引価格を恣意的に高くしたり低くしたりすることで、一方から他方へ利益を移転することができ、利益調整が可能となるためです。取引価格の全部又は一部が税務上の寄附金に該当すると認定された場合には、支払い側において寄附金と認定された金額の全部又は一部を損金算入できないことになります。
実務上、親子会社間の取引価格が寄附金と認定されるか否かを判断することは難しいですが、最近、参考になる判決がありました。
平成26年1月24日の東京地裁の判決ですが、納税者勝訴で控訴されずに確定しています。
納税者は住宅用外壁部材の製造会社ですが、親会社に住宅用外壁部材を販売する際に、期首において暫定価格を設定したうえで、合理的な原価計算による実際原価に基づいて期末において期末価格を決定して差額を精算していたところ、当該精算額が寄附金に該当するとして国税当局により更正されていました。
しかしながら、裁判所の判断では、契約関係や暫定価格の設定から期末価格の決定までの経緯を勘案すると、取引価格は期末価格であり、また、取引価格と市場価格とのかい離を認めるべき証拠はないため、寄附金には該当しないとされました。
この判決から、暫定価格を設定して後に精算する等の支払い方は寄附金認定の本質的な問題ではなく、取引価格と市場価格がかい離しているか否かが寄附金認定の根幹であると考えられます。
親子会社間で取引を行う場合には、取引価格と市場価格がかい離していることが明らかか否かに注意を払うことが、最も重要なポイントとなります。
復興法人特別税が1年前倒しで廃止されました
東日本大震災からの復興のための財源を目的とした復興法人特別税が一年前倒しで廃止されました。当初は、平成27年3月31日までに開始する事業年度まで課される予定でしたが、平成26年4月1日以降に開始する事業年度からは、復興法人特別税が課されないこととなりました。
また、同じく東日本大震災からの復興のための財源を目的とした復興特別所得税は平成49年まで継続されます(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法33条9条)。
なお、利子や配当等に課され源泉徴収された復興特別所得税は、所得税とみなし、申告時に法人税から控除することが可能となっております(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法33条②)。
新年度を迎えて、短期・中期経営計画などの事業計画の策定やタックスプランニングを行っている企業様も多いかと思われますので、税率の変更についてはご留意ください。
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政府税調が外形標準課税の拡大を検討中
政府税制調査会が外形標準課税を拡大するか否か検討を行っている。
これは、現在の外形標準課税が資本金1億円超の企業(全法人の1%) だけを対象としており、行政サービス費用を広く分担するために、対象を広げるべきとの方向性で検討されているものである。
2014年4月25日現在では、内閣府の税制調査会のHPに議事録がアップされていないため、詳細な議論の経過は不明であるが、日本経済新聞(2014年4月25日)によると、現在外形標準課税の対象企業となる資本金1億円超というハードルの引き下げなどを検討している模様である。
一方で、反対する意見もある模様で、外形標準課税が拡大されると、従業員の賃上への影響を懸念する声もある模様である。これは、外形標準課税が資本金や従業員給料を課税標準としており、賃上げによって外形標準課税による税負担が増加するためである。
仮に外形標準課税の課税拡大が実施されれば、中小企業への影響は避けられない見通しで、対応策の検討が必要と思われます。
今後、6月に一定の方向性を纏めることを目指しているとのことである。
参考
政府税制調査会 第4回 法人課税ディスカッショングループ(2014年4月24日)資料一覧
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion3/2014/26dis34kai.html
日本経済新聞 2014年4月25日付 第5面
政府税調が減価償却制度を定額法へ一本化する方向で検討中
政府税制調査会が減価償却制度を定額法へ一本化するか否か検討を行っており、6月に一定法の方向性を纏めることを目指しているとのことである。
減価償却制度は、大きく分けて定額法と定率法が一般的ですが、
u 定率法は早期に減価償却費を計上できることから、その時々の損益状況に応じた節税効果の観点から選択される場合が少なくなく、こうした状況は是正されるべきではないか
u 政策税制と異なり、適用設備に要件が課されているわけではないため、非効率な投資も助長する結果となっている
との見解が示されている。この背景には、定額法の採用が多い国際的な動向を睨んだ検討とも考えられる。
定率法の利用は、節税にも大きく影響する内容であるため、今後の動向に注視が必要と思われます。
参考
政府税制調査会 第3回 法人課税ディスカッショングループ(2014年4月14日)資料一覧
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion3/2014/26dis33kai.html
経営財務 3160号 2014年04月21日「減価償却方法は定額法一本化へ」
平成25年度補正予算 創業補助金の公募期間は平成26年6月30日までとなっております
平成25年度補正予算による創業補助金の公募期間終了まで、あと2ヵ月程度となりました。申請をご希望の方はお早めにご準備ください
創業補助金は地域の活性化や海外需要の獲得を目指す創業へのチャレンジを支援するための政策であり、公募の受付・審査、補助金の決定・交付は、各都道府県の事務局が行っております。
なお、創業補助金で見落とされがちなのは、第二創業を行った際も対象となる点でして、事業承継により、代表者の息子などに世代交代を行った場合も対象となりますので、ご竜下さい。
なお、主な要件は下記の通りです。
【補助対象者】
次に掲げる方が対象となります。
①地域の需要や雇用を支える事業や、海外市場の獲得を念頭とした事業を日本国内において興す起業・創業を行う者
②既に事業を営んでいる中小企業・小規模事業者において後継者が先代から事業を引き継いだ場合などに業態転換や新事業・新分野に進出する[第二創業]を行う者
【補助内容】
弁護士、弁理士などの専門家との顧問契約のための費用や広告費等、創業及び販路開拓に必要な経費(別途基準を定めます)に対して以下の補助率、補助上限額に基づき補助が行われます。なお、補助額が100万円に満たない場合は、補助の対象外とします。
補助率 |
補助上限額 |
|
[創業] |
2/3 |
200万円 |
[第二創業] |
2/3 |
200万円 |
創業補助金は、申請に際しては事業計画の策定が必要となるなど、準備に一定の時間が要するため、早めに取りかかることが必要です。
弊社では、創業補助金の申請支援を行っておりますので、お気軽にお問合せ下さい。
参考
平成25年度補正予算 創業補助金 募集要項 創業補助金 東京都事務局
http://www.sogyo-tokyo.jp/docs/sogyosokushin_bosyu_youkou.pdf
繰越欠損金の引継ぎにおける特定役員引継要件
ヤフーが合併により被合併法人から引き継いだ繰越欠損金約540億円が否認された事案について、平成26年3月18日に東京地裁の判決がありました。
この事案では、ソフトバンクから買収した会社が被合併法人であり、ヤフーと被合併法人は特定資本関係が生じてから5年以内であったため、ヤフーが被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐためには、みなし共同事業要件を満たす必要がありました。
この点ヤフーは、買収前に被合併法人に役員を送り込み(ヤフーの代表取締役が被合併法人の副社長となりました)、当該役員が合併後もヤフーの役員となることで、特定役員引継要件を満たし、もってみなし共同事業要件を満たし、繰越欠損金を引き継ぎました。
争点の一つとなったのはこの特定役員引継要件で、ヤフーが被合併法人に役員を送り込んでからわずか2ヶ月で合併が行われたことや、当該役員以外の被合併法人の役員は合併により全員退任したことなどから、みなし共同事業要件を形式的に満たすための行為であったとして、組織再編税制における包括的否認規定(法人税法132条の2)により否認されています。
この判決文における東京地裁の判断の部分に、次のような記載があります。
「みなし共同事業要件に係る特定役員引継要件が、特定役員引継要件に形式的に該当する事実さえあれば、組織再編成に係る他の具体的な事情を一切問わずに(すなわち、例えば、①特定資本関係発生以前の時期における当該役員の任期、②当該役員の職務の内容、③合併後における当該役員以外の役員の去就、④合併後における事業の継続性や従業員の継続性の有無、⑤合併により引き継がれる事業自体の価値と未処理欠損金額との多寡、⑥被合併法人と合併法人の事業規模の違いなどの事情を一切問わずに)、未処理欠損金額の引継ぎを認めるべきものとして定められたとはいえず、特定役員引継要件に形式的に該当する事実があるとしても包括否認規定を適用することは排除されないと解することが相当である。」
特定役員引継要件は形式的に満たすだけでは認められないということは、実務上は従来より意識されていたと思われますが、上記によれば、控訴審でどのような見解が示されるかはともかく、現時点の東京地裁の見解として形式的な特定役員引継は否認事由になることが明らかにされ、また、考慮すべき事情の一例が示されています。
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