節税_借上社宅による節税

2014-09-17

Q

私は中小企業のオーナー兼代表者なのですが、役員に対して社宅を用いた節税策があると聞いたのですが、詳しく教えてください。

 

A

役員への借上げ社宅を節税策として活用することが可能です。ただ、その際に注意すべきポイント有ります。

まず最初に、原則から申し上げますと、役員に対して役員の自宅の家賃相当額を会社が支払うと、その家賃相当額は役員報酬として所得税や社会保険料の対象となります。

借上げ社宅として節税するには、会社名義でマンションなどを契約し、会社から役員に転貸借することが必要となります。

そして、無償で役員に転貸借することはできず、役員から一定の賃貸料を収受する必要があります。この一定の賃貸料の金額の設定を、実際に会社が支払っている金額よりも低くすることにより節税を行うことが一般的です。つまり、借上げ社宅による節税額は下記の通りとなります。

 

節税額=会社が不動産会社に支払う賃貸料-役員が会社に支払う一定の賃貸料

 

では、一定の賃貸料の水準を1円といった名目的な金額にすることができるかというと、それも難しく、(所得税法基本通達36-41等に定める)通常の賃貸料を支払う必要があります。

通常の賃貸料は、所得税法基本通達36-41などに定めるがありますが、最も多く使用されている計算式は下記の算式であると考えます。

 

 

通常の賃貸料=①+②+③の合計値

 

①    その年度の家屋の固定資産税の課税標準額× 0.2%

②    12 円×その家屋の総床面積(㎡)÷ 3.3(㎡)

③    その年度の敷地の固定資産税の課税標準額× 0.22%

 

 

なお、上記の算式により通常の賃貸料を計算するには、貸与した家屋の床面積が132㎡以下であるなどの要件を満たす必要があり、さらにあまりにも広い場合は、豪華な社宅として節税ができないなど注意が必要なため、詳細は顧問税理士にお問い合わせ下さい。

 

また、役員の借上げ社宅は節税面以外のメリットもあります。

1つ目は、借上げ社宅を福利厚生として用いることで、役員のモチベーションアップを図れる点です。

2つ目は、社会保険料の減額につながる点です。借上げ社宅による節税額は役員報酬ではないため、この節税額相当にかかる社会保険料がかからず、保険料の節約となります。

 

ところで、借上げ社宅による節税を行うには、上記の「通常の賃貸料」を算定する必要があり、その算定にはマンションなどの固定資産税評価額を把握する必要があります。

 

固定資産税評価額は、固定資産税の評価証明書を自治体から入手する必要があるのですが、場合によってはこの固定資産税の評価証明書の入手が難しい場合があります。

 

固定資産税の評価証明書は、不動産の所有者と当該不動産の賃借権者が入手をできることとなっております。

しかし、自治体によって運用は異なりますが、転貸借権者には開示が難しい場合有り、これがネックになるケースが多いです。

自治体によっては、転貸借権者が固定資産税評価額の開示を受けるには、転貸借契約書の他に、賃貸貸借契約書を自治体に提示して開示請求をしなければならないためです。

賃貸用マンションなどの多くは、マンションのオーナーから不動産会社等が一括借り上げをし、不動産会社等が個々の居住者に転貸借しているケースが多く、そのようなケースで固定資産税の評価証明書の開示を受けるには、居住者が不動産会社と締結している転貸借契約書のほかに、マンションのオーナーと不動産会社との間の一括借り上げ等に関する賃貸借契約書やマンションオーナーからの委任状が必要とされております。しかし、不動産会社やマンション等のオーナーからそのような資料の開示を受けることは難しいのが現状です。

 

そこで、固定資産税の評価証明書を入手できない場合には、会社が不動産会社に支払う賃貸料の一定割合を通常の賃料として収受し、その金額を保守的に試算することで、否認されないようにすることが一般的かと思います。

 

借上げ社宅による節税についてもっと詳しく知りたい方は、↓までお問い合わせください。

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