Archive for the ‘経営改善’ Category
災害に関連する主な法人税の規定
本年は、熊本地震や台風10号に伴う大雨被害など、災害が多く発生しております。本日は災害などに関連する法人税の規定について記載いたします。
1.取引先に対する災害見舞金等
法人が、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために要した費用は、交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。
2.取引先に対する売掛金等の免除等
法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。
また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合及び災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様に取り扱われます。
(法基通9-4-6の2、措通(法)61の4(1) -10の2)
3.取引先に対する低利又は無利息による融資
法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行った場合における通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、寄附金に該当しないものとされます。
4.自社製品等の被災者に対する提供
法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金の額に算入されます。
(法基通9-4-6の4、措通(法)61の4(1) -10の4)
5.災害による損失金の繰越し
法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には、その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、その災害損失欠損金額に相当する金額は、その各事業年度において損金の額に算入されます。
出所:国税庁HP「災害に関する主な税務上の取扱いについて」
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東日本大震災による被災法人について、債務免除等がある場合の評価損益等の特例
平成28年5月25日に、中小企業庁より、中小企業再生支援協議会などが利用する「中小企業再生支援スキーム」の改正が公表されました。この改正により、東日本大震災によって被害を受けたことにより、過大な債務を負い、二重債務問題に直面している被災事業者の債務を産業復興機構が買い取り、一定期間後に単独で債権放棄する場合、被災事業者への債務免除益課税を回避するために、資産の評価益又は評価損の計上、期限切れ欠損金の優先適用を可能となりました。また、同様に、個人事業主に対する債務免除益課税の回避に関する手順も盛り込まれております。
この、改正の背景には、産業復興機構による被災事業者の債権買い取りから5年が経過し、支援終了の過程で債権放棄を行う案件が発生してくることを踏まえ、債務免除益課税への回避を盛り込んだものとされております。
出所:中小企業庁HPより(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/2016/160525saisei2.pdf)
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事業再生とオーナーの相続税対策
事業再生においては、再生対象企業の法人税や消費税のほか、オーナーの相続税への配慮が必要なケースがある。特に、平成26年(2014年)度税制改正により、平成27年1月1日以後、相続税の基礎控除額が従来の6割に引下げられたことで、相続税の納税が必要なケースが増加して、中小企業の事業再生の局面で、相続税対策が必要なケースは増加している。以下では、典型的なケースを3つ挙げ、それぞれ解説を行う。
1.オーナーが再生対象企業に対して、多額の貸付金を有しているケース
再生対象企業では、資金繰りが上手くいかず、オーナーから多額の借入を受けているケースがある。この場合、当該借入金は、オーナーにおいて再生対象企業に対する貸付金となって、私的整理のケースでは、原則的には、その額面が相続財産として課税対象となり得る。
但し、例外規定として、額面以下の金額で評価できるケースが財産評価基本通達205に示されており、私的整理の際にはオーナーの相続税対策を含めて、オーナーからの借入金への対応を再生計画に盛り込むことを検討すべきである。
2.再生対象会社が、実態ベースは債務超過であっても、相続税評価では株式に課税がされる場合
再生対象会社では、多額の不良資産を有している場合がある。例えば、売掛金や在庫、オーナーなどに対する貸付金である。実態BSなどを算定する際には、これらの不良資産は会計的に減額して評価されるが、相続税の評価では、原則的には、額面として評価される。
この場合、実態BSでは、債務超過であったとしても、相続税の評価では資産超過であるというケースが生じることとなり、オーナーの株式は相続税の課税対象となり得る。
3.オーナーが再生対象企業に対して、保証債務などを有する場合
オーナーが、再生対象企業に対して保証債務を負っている場合がある。特に、中小企業では殆どのケースで該当する。
この保証債務であるが、相続税の評価上は、原則として、債務とならず、相続財産から控除することができない。そのため、私的整理の局面では、今後保証債務の履行が十分に見込まれる場合には、予め事業再生計画に反映しておくことが必要と考える。
参考条文:財産評価基本通達204、財産評価基本通達205
事業再生・私的整理・事業承継について、さらに詳しくお知りになりたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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東証 改正会社法対応で上場規定等を改正(スクイーズアウトの迅速化などを期待)
東証 改正会社法対応で上場規定等を改正
東京証券取引所は、平成27年5月1日施行の「会社法の一部を改正する法律」に対応するため、有価証券上場規定等の一部改正を行いました。主な改正点は以下の2つです。
(1)「特別支配株主の株主等売渡請求」制度の新設に伴う制度整備
(2)独立役員の独立性に関する開示の見直し
(1)「特別支配株主の株主等売渡請求」制度の新設に伴う制度整備
「特別支配株主の株主等売渡請求」とは、「株式会社の総株主の決議権90%以上を有する当該株式会社以外の者」等である特別支配株主が、他の株主に対して株式全部を売り渡すよう請求出来る制度であり、キャッシュ・アウト(現金を対価として少数株主を締め出す事)の新制度として創設されました。これまでのキャッシュ・アウトは、時間とコストがかかる、というデメリットがありましたが、新しく創設されることで、迅速に実施が可能となりました。
東証は、この制度に対応するため、以下の基準を追加しました。
① 適時開示事由の追加
特別支配株主の株式等売渡請求に関し、以下の場合に 適時開示を求めることとしました。
・ 株主等売渡請求に係る承認または、不承認を行うことについて決定した場合。
・ 別支配株主が当該上場会社に係る株式等売渡請求を行うことについての決定をした事実又は当該特別支配株主が当該決定に係る株式等売渡請求を行わないことを決定した事実が発生した場合。
② 上場廃止基準の追加
特別支配株主が上場会社の当該銘柄に係る株主の全部を取得する場合には、その上場を廃止する事としました。
(2) 独立役員の独立性に関する開示の見直し
「10年間が経過すれば会社との関係が希薄となり社外役員の機能を実効的に果たすことが期待できるとして社外性を認める」こととした会社法改正法を踏まえ、東証は、10年以上前に上場会社又はその子会社の業務執行者であった者を、その独立性を認め独立役員に指定出来ることとしました。しかし、状況によっては、投資家がその独立性を懸念する場合も考えられるため、投資家の判断に資するよう、10年以上前に上場会社またはその子会社の業務執行者であったものを独立役員に指定する場合は、その旨、およびその概要を開示するよう求めることとしました。
なお、以上の改正は、会社法改正法の施行の日から実施されます。
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日経ヴェリタス(旧 日経金融新聞)に取材協力(事業再生について)をさせて頂きました
「日経ヴェリタス」にて、弊社代表の佐々木健郎(税理士・公認会計士)の事業再生の活動が取り上げられました。
日経ヴェリタス 平成26年11月2日
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税金の滞納により発生した延滞税の減額、免除の交渉
Q
私は中小企業のオーナーなのですが、不況により業績が悪化し、税金を滞納しております。
さらに、税金の滞納により延滞税がかかると聞きました。
延滞税とはなんでしょうか。また、延滞税を減免することは可能なのでしょうか。
A
延滞税とは、税金を法定期限等までに納付しなかったことにより14.6%などの一定利率の遅延利息が、滞納日数に応じて課させられます。
延滞税は、一定の場合に免除がされます。主に下記の事由により免除がなされますが、所定の要件・手続を経ている必要があります(国税津速報63条)。
1.災害等があった場合に、災害等がやんだ日から2ヵ月以内に納税者の申請に基づき納税の猶予を行っている場合には、猶予期間に対応する延滞税を免除
2.災害等があった場合に、税務署長等が納期限の延長を行った場合には、延長した期間に係る延滞税を免除
3.事業廃止、事業に著しい損失の発生等があった場合に、納税者の申請に基づき納税の猶予を行っている場合には、猶予期間に対応する延滞税を免除
4.納税者から更正の請求があったこと等により、国税の徴収を猶予した場合には、猶予した期間のうち国税の納期限から2ヵ月を経過する日後の期間に対応する部分の2分の1に相当する金額を免除する
5.滞納に係る国税の全額を徴収するために必要な財産の差押えその他の保全を受けた場合には、保全がされている期間に対応する部分の2分の1に相当する金額を免除する
6.保証人などからの徴収を行った場合
7.納付委託金融機関がその委託を受けた日後に国税の納付を行った場合
8.震災等による災害により、国税を納付することができない事由が生じた場合には、その事由が生じた日からその事由がやんだ日以後7日を経過した日までの期間
9.火薬類の爆発その他人為的な事故により、国税を納付することができない事由が生じた場合には、その事由が生じた日からその事由がやんだ日以後7日を経過した日までの期間
これらの規定は、基本的に予め納税猶予等を受けていることが前提となっております。そのため、滞納が始まってから検討するのではなく、滞納が生じそうな場合には、予め取りうる手段を検討することが重要です。
なお、上記の規定は国税に関する規定であり、固定資産税、住民税などの地方税は上記の国税通則法ではカバーされておらず、地方税法に準拠して延滞について検討することになります。
また、社会保険料についても同様に遅延利息が課されることとなるため、注意が必要です。
延滞税や延滞金についてもっと詳しく知りたい方は、↓までお問い合わせください。
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中小企業のIT導入は身の丈に合わせて
企業向けには、「会計・経理」から始まって「販売管理」・「生産管理」・「在庫管理」・「人事管理」等々、多くのITシステムが提供されています。
パッケージ・ソフトウェアを導入したり、自社開発をしたりと、導入のやり方は企業ごとに違いますが。
当然のことながら、IT導入には導入・開発コストや運用コストなどコストが発生します。
「会計・経理」など最低限必要なシステムは導入する必要はありますが、それも過剰な機能は必要ない(例えば、国内取引しかしていないなら複数通貨の機能は必要ないですね。)ので、規模も含めて企業の身の丈にあったシステム導入が肝要です。
「販売管理」なども、例えばEXCELで間に合うかもしれません。
その他のシステムについても同様です。
売り手の甘い言葉に乗せられないように、身の丈に合った賢いIT導入をお薦めします。
売り手側に与しない立場の専門家(例えば商工会議所などの公的機関の専門家派遣を活用するなどして)のアドバイスが有効かもしれません。
いずれにせよ、「中小企業のIT導入は身の丈に合わせて」行うことが大切です。
ご参考になれば幸いです。
「第三の習慣」ってご存知ですか?
コヴィー博士の「7つの習慣」(1996年に出版された成功ノウハウ本で、全世界2,000万部、日本でも累計130万部のベストセラーだそうです)の中に書かれているものです。
『重要事項を優先する』という当たり前のことを言っているだけなのですが、結構、的を得た指摘で、これをビジネスに活かせれば「成功」にも繋がるかと思います。
簡単にご紹介すると、我々のビジネスシーンでは『重要なこと』と『緊急なこと』という価値基準があり、『重要で緊急なこと』、『重要だが緊急ではないこと』、『重要ではないが緊急なこと』、『重要でもなく緊急でもないこと』の4つに分類できると言っています。
優先順位のトップは『重要で緊急なこと』(例えば納期とか)であることは疑いないと思いますが、コヴィー博士は『重要だが緊急ではないこと』がトッププライオリティになるという趣旨のことを言っています。つまり、仕事の段取りとか事前準備(重要だが緊急ではないこと)をしっかりやっておけば、納期(重要で緊急なこと)に追われることはないといったことです。
また、我々は往々にして『重要ではないが緊急なこと』が結果的にトッププライオリティになってしまっている場合が多いとも指摘しています。耳が痛いですね。
まあ、『重要でもなく緊急でもないこと』に終始して1日が終わってしまうのは論外ですが、そういう人も周りを見渡すといないこともないですが。。。
皆様も、ご自分にとって『重要だが緊急ではないこと』ってなんなのか? 振り返って見られてはいかがでしょうか?
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経営に際しては「何をやらないかを決める」のが大事
事業計画やマーケティングプランの策定など、「何をやるのかを決める」ことが多いですが、てんこ盛りの施策(アクション項目)、数多くのKPIの設定など、現実的でない計画を見かけることがままあります。
あまりに多くの目標・施策があると、結局は何を実行すればいいのか不徹底なまま、全ての施策が中途半端な形で推移し、目標が達成できないという結果となってしまうケースも見かけます。
人間が日常のビジネスシーンで意識する(できる)目標・実行する(できる)施策は、厳選された数少ないものでないと機能しません。
例えば(言い古されたことですが)、シェアが大事なのか? 売上高が大事なのか? 利益が大事なのか? は事業のステージによって違います。これ等全てを目指す目標・施策をたて、実現することは至難の業であるといえます。
何が大事で何をすべきかを決めることは、大事ではあるが(今は)やらないことを決めることに通じます。
「大事ではあるが(今は)やらない」ことを決めるのは大変に勇気のいることですが、経営における意思決定の要諦のひとつといえるかと思います。
偉そうなことを言っている筆者も「やらなければならないこと」に追われる毎日を、少しでも改善したいと思っています。。。
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月次決算の早期化と経営への影響
弊社では月次決算の早期化支援を行っております。
お客様に月次決算の早期化支援をご提案する際に、月次決算早期化メリットについてご質問を頂く場合がございます。
そこで、本日は月次決算の早期化のメリットについてご説明したいと思います。
月次決算の早期化によるメリットは、端的に申し上げると、「業績の向上に貢献する」と申し上げることができます。
これは、月次決算が早期に行われることで、前月の活動を、社内の構成員の記憶に新しいうちに、数値で確認することができますし、月次決算を中心として、例えば次のような取り組みに繋げることが可能となるためです。
段階 |
取組 |
効果 |
月次決算の仕組を構築 |
関係各部署が月次決算を早期に行うために連携 |
社内に経営数値への意識づけが可能 |
数値の取りまとめ作業 |
月次業績の報告 |
社内コミュニケーションの活発化 |
経営会議の開催 |
月次業績を利用した経営会議の開催と今後の施策の検討 |
経営活動の明確な指針を決定 |
今後の経営方針を決定 |
翌月の経営方針を社内に伝達 |
社内に経営数値への意識づけが可能 |
また、実際に月次決算の完成時期に応じた業績の変化に関するデータございます。
過去3年間の営業利益の推移の傾向 |
||||||
増加 |
横ばい |
減少 |
無回答 |
計 |
||
月次決算の |
5日以内 |
35社 |
14社 |
10社 |
1社 |
60社 |
58% |
23% |
17% |
2% |
100% |
||
6~10日 |
85社 |
38社 |
35社 |
0社 |
158社 |
|
54% |
24% |
22% |
0% |
100% |
||
11~15日 |
27社 |
19社 |
25社 |
0社 |
71社 |
|
38% |
27% |
35% |
0% |
100% |
||
16日~ |
9社 |
3社 |
14社 |
0社 |
26社 |
|
35% |
12% |
54% |
0% |
100% |
||
無回答 |
3社 |
1社 |
1社 |
3社 |
8社 |
|
38% |
13% |
13% |
38% |
100% |
||
計 |
159社 |
75社 |
85社 |
4社 |
323社 |
|
49% |
23% |
26% |
1% |
100% |
(出典:日本公認会計士協会東京会 経営委員会研究報告書 「業績評価指標と管理関係について」)
これによると、過去3年以内の営業利益が増加傾向にあると回答した企業156社のうち、営業日ベースで5日以内に月次決算を完成させる企業が35社、6日~10日以内に完成させる企業85社と合わせて、77%の企業が10日以内に月次決算を完成させていることから、業績の向上に一定の相関関係が見受けられます。
このように、月次決算を早期化し、さらに経営会議等と連動することで、社内体制の強化につなげる取り組みも可能でございます。
詳しくお知りになりたい方は、弊社の担当者にお問い合わせ頂けますと幸いです。
(参考文献:日本公認会計士協会東京会 経営委員会研究報告書 「業績評価指標と管理関係について」)
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